2006年8月27日 耐震診断の説明会(相談会)を開催します。
●断熱・気密・換気と水蒸気のこと
暖房といえばすぐに、暖房器具または、熱源の事を思い浮かべると思いますが、電気がもっとも手軽な熱源ですが、価格がもっとも高いと信じ込まれています。灯油がもっとも安く、ガスがその次だと思っていませんか。
熱源による発生熱量と価格の比較
しかしながら、暖房なしで、暖かければ、こんなこと考えなくとも良いのではないでしょうか。東京や埼玉に住んでいて、暖房なしなどという事は全く考えらないのが現状です。でも、限りなく少なくしてゆくことは出来ます。
今、無暖房住宅という言葉がかなり聞こえてくるようになりました。スエーデンのハンス・エイク氏が唱え実践した無暖房住宅は、壁の断熱材の厚みが、42センチ、屋根の断熱材の厚みが、50センチというものです。太陽熱を有効に取り入れ、外には、使ったお湯の熱も全て回収してから捨てるというものです。ある部分理想かも知れませんが、小さな敷地に何とかして広い空間を作ろうとしている、我々の環境にはほとんど不可能な断熱材の厚みですね。もっとも、スエーデンのように寒さが厳しくない日本の関東地域では、もっと断熱材は少なくてすむかも知れませんが、その代わり、夏の冷房の事も考慮しなければいけないのです。結論的には、その土地にあった、無暖房住宅(及び、無冷房住宅)を考えねばならないということです。
体感温度という言葉があります。実際の温度よりこの体感温度がより重要です。室温18度のとき、湿度60%であれば、さほど寒いと感じませんが、湿度30%とかですとかなり寒く感じます。夏は、同じ30度でも、湿度が70%を越えた場合と、50%以下の場合では体感温度が違うだけでなく、全ての生活意欲に大きな差がでます。お解かりと思いますが、体感温度の元は、湿度にあります。室内の湿度をうまくコントロールできれば、冷暖房もかなり抑えることが出来るということです。夏は、湿度を低くして、さらに、弱い風があれば、かなり涼しく感じます。冬も湿度があれば、皮膚からの蒸発熱がおさえられますので、暖かく感じます。湿度をコントロールすることを調湿といいますが、この調湿作用のある建材で、住宅を作れば、住みよい家になるのですが、全てをということは難しいものです。仕上げ材が調湿作用があるものを使うのはとても良いことです。また、調湿といっても、一時的に大量に発生した水蒸気を保存しきれないと、結露してしまいますので、多すぎるときは、外部に水蒸気を排出できる材料で構成する必要があります。このような材料を透湿性の良い材料といいます。冬季、室内に過剰に発生した水蒸気を外部に排出するには、室内側から、室外側に向かって透湿性の良い材料を並べて構成するのですが、関東では、同じ程度が良いとされております。冬季は湿度が低いので、きちんと気密が取れていれば、基本的に結露することはありません。夏は、湿度が高く外気より室温が低くなればなるほど、水蒸気は余ってきます。これらの水蒸気をどんどん吸湿してくれる材料があれば、機械で、除湿する必要がありません。しかも、外気より湿度が低く、50〜60%程度に調湿出来れば、冷房する必要はなくなります。ゆっくりした空気の移動と低湿度の空気があれば、どんどん体温を奪ってくれますので、涼しく感じるわけです。
また、暖房の話に戻りますが、ハンス・エイク氏の無暖房住宅は、分厚い断熱材で、熱を逃がさないように工夫していた訳ですが、壁や、天井、床をすっぽりと効果的な断熱材で覆ったとしても、窓や、出入り口の断熱を考えないと、トンでもないことになってしまいます。日本で、もっとも進んでいる基準の次世代省エネで、要求される断熱性能では、壁1の断熱性能に対し、開口部はその10分の一しかありません。外壁屋根床の合計面積が300uある住宅の開口部の面積が、30uあれば、1対1ということになります。いかに開口部から逃げたり入ってくる熱が大量であるかがお解かりいただけるとおもいます。窓の性能をよくすれば、断熱性能がすぐに向上するということです。断熱材の厚みを25%厚くするより、窓の性能を25%向上させるほうが、価格的にも、施工的にも、バランス的にも望ましい形です。
各種材料の断熱性能 窓(開口部)の断熱性能
もうひとつ暖房について重要な要素があります。暖房は、その熱源と関係なく、空気を暖めて対流で暖める、対流暖房と、空気と関係なく直接ものを暖める輻射暖房があります。もうひとつ熱伝導による暖房もありますが、熱伝導そのものを肌に取り入れることは、非常にすくないので、空気暖房と輻射暖房のことについて考えて見ましょう。太陽が暖かいのは、その輻射熱があるからです。熱は、真空を伝達しないという性質がありますが、太陽は、熱を飛ばしているのではなく、電磁波を飛ばしているので、真空の宇宙空間を地球まで到達できるわけです。その太陽の飛ばしてくる電磁波のうち熱線と呼ばれる、遠赤外線が物質にあたると、当った物質の分子が刺激されて、熱を発するわけです。これは電子レンジと同じ原理なのです。この遠赤外線は、太陽だけではなく、物質からも出ています。炭火、七輪(珪藻土)などセラミック、鋳物のストーブ等々聞いたことはあると思います。それだけでなく、ほとんど全ての物質が暖められると、遠赤外線が出てきます。(同じ温度でも遠赤外線の量が異なる)床、壁、天井からその中にいる人に遠赤外線が放射されています。
遠赤外線は、空気を暖めることはありません。当った物質を直接暖めます。その物質が熱伝導により、空気を暖めるので、時間がたてば、結果的に気温も上がってきます。建物の構造および仕上げ材を熱容量の大きなもので構成すれば、暖めにくいがさめるのにも時間がかかることになります。熱を蓄えて、ゆっくり放熱するということです。特に、冬、太陽の遠赤外線を室内の物質が熱として蓄え、夜間ゆっくり放熱すれば、理想的暖房になります。それだけでなく、昼間暖かくなった空気が室内の仕上げ材を暖めてくれますが、熱容量の大きな仕上げ材であれば、これらの仕上げ材から遠赤外線が発せられるのです。室内に一度取り込んだ熱をいかに逃がさないようにするかを考えれば、無暖房住宅も可能性が高くなってきます。夏は、この遠赤外線は、全く逆に作用します。物質からでる遠赤外線は温度が高いほど多くなり、内部の人に降り注ぎます。窓から入ってくる太陽光も容赦なく物質を暖めます。夏は、昼間の太陽を室内に入れないように工夫することが、即省エネに繋がります。何もしなくとも、室内の気温は上昇しますので、換気する必要があります。
ここで、熱を奪うことが出来る現象があります。水が水蒸気に変化するとき気化熱を周囲から奪います。暑いとき汗をかいて体温を下げる現象や、打ち水をして涼しくする現象です。水蒸気の量をコントロールできれば、この気化熱をうまく利用して、室温を下げることも可能です。水を入れた素焼きの壷を置いておけば、温度が下がります。夏も冬も当然一年を通して、湿度のコントロールは体感温度を快適にする最も重要な要素であることがわかったとおもいます。この湿度のコントロールは、非常に難しく、機械的に行うとすれば、夏は、湿度を下げると気温も一緒に下がってしまうため、再加熱するエアコンが多く出回っています。冬季は、湿度を上げるために、加湿器が使われますが、なかなかうまくコントロールすることが難しいものです。
●気密の大切さ
室内の水蒸気をコントロールするには、どうしても避けて通れないのが、気密です。空気は、水蒸気を含んだまま、隙間があれば、自由に出入りします。然しながら、水蒸気は、平均化する性質がありますので、室内で、いくら水蒸気をコントロールしようとしても隙間が多いと出来ません。建物に隙間が多いと、当然ながら、冷暖房の効率が悪くなります。すなわち、気密性が高ければ、冷暖房の効率がよくなり、省エネ度は、増すわけです。温度のコントロールも隙間が多いと、出来なくなります。先に書いた、対流による熱の移動が激しく起きてしまうからです。冬季は、冷たい空気が隙間から、室内の暖かい空気を押し上げて進入してきます。また、断熱材のきれた隙間からは、熱伝導による外部の熱が、室内に押し寄せてきます。冷たい空気は、水蒸気をたくさん含むことができないので、余分な水蒸気は、結露してしまうことになります。なんと水蒸気が空中を飛び回る速度は、640m/secと、音速より速いのです。結露した水は、木を腐らせたり、断熱材の性能を低くしたりします。
●換気の必要性
気密性が良くなれば、室内の空気がよどんだり、空気中の健康に良くない成分が増えたりしますので、意識的に換気する必要があります。これを計画換気と呼びます。室内空気を常時換気することは、健康に欠かせません。逆に、換気することによって、室内の熱を外に捨てることにもなります。必要以上の換気は、無駄に通じます。換気する量をきちんと計画することを、計画換気と呼びます。
換気の必要な、CO2の濃度(必要な酸素量)
熱交換換気とは、空気に含まれる熱を、外気を導入するときに、熱だけを交換してしまう換気方法です。顕熱交換と全熱交換とがあります。顕熱交換では、水蒸気を捨ててしまいますので、水蒸気に含まれるより多くの熱は捨ててしまいますが、全熱交換は、水蒸気も交換できますので、より省エネになります。いずれにしても、必要最小限の換気量が省エネになります。必要な換気量は、CO2の濃度ですから、CO2検知計などで、室内のCO2濃度を見ながら、生活にあった換気量を調節する必要があります。CO2の濃度計は2〜3万円程度の価格のものもあります。
熱源による発生熱量と価格の比較
| 各種エネルギーの1円当たりの発熱量 |
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種類 |
発熱量
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単価
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1円当りの発熱量
[kcal/yen] |
電気ヒーター
(従量電灯A) |
860 |
[kcal]
(1kwh当り) |
18〜25 |
[yen/kwh] |
34 |
〜 |
48 |
電気ヒーター
(深夜電力B) |
860 |
[kcal]
(1kwh当り) |
7〜10 |
[yen/kwh] |
86 |
〜 |
123 |
エコキュート
(深夜電力B) |
2,580〜4,300 |
[kcal]
(1kwh当り) |
7〜10 |
[yen/kwh] |
258 |
〜 |
614 |
電気エアコン
(従量電灯A) |
3,440〜5,160 |
[kcal]
(1kwh当り) |
18〜25 |
[yen/kwh] |
138 |
〜 |
285 |
電気エアコン
(深夜電力B) |
3,440〜5,160 |
[kcal]
(1kwh当り) |
7〜10 |
[yen/kwh] |
344 |
〜 |
737 |
| 石油(灯油) |
8,240 |
[kcal]
(1リットル当り) |
900〜1400 |
[yen/18L] |
106 |
〜 |
165 |
| LPガス |
29,300 |
[kcal]
(1m3当り) |
350〜1800 |
[yen/m3] |
16 |
〜 |
84 |
| 都市ガス |
10,000 |
[kcal]
(1m3当り) |
115〜132 |
[yen/m3] |
75 |
〜 |
87 |
ハンス・エイク氏
1948年スウェーデン生まれ。世界で最初に無暖房住宅に取り組んだ。
体感温度
人間の温度感覚は気温に左右されるだけではなく、湿度・風速・放射量の 値や変化の速度や心理的な状態の影響を受ける。なかでも湿度による影響は大きい。 湿度は人間の生活と関係が深く、暑さや寒さの感覚を定量的に示す体感温度に大しても大きな影響を与える。例えば気温が高い夏場でも湿度が低い場合、体感的にはさほど暑さを感じないが、湿度が高いと気温のわりには相当蒸し暑く感じるといったものが例としてあげられる。 このほかにも、寒冷地において凍傷の予防などを目的に風邪による冷却効果を指標化した風の冷却効果(風冷指数)という体感温度も存在する。
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