2006年8月27日 耐震診断の説明会(相談会)を開催します。


●環建築事務所の考える住宅の基本性能

住宅の耐震性能は、震度7で倒壊しないが最低レベルです。建築基準法の性能表示では、等級1です。等級2は、その1.25倍、等級3は、1.5倍です。等級1でも耐震住宅ですが、最近の実験結果によりますと、地震の揺れ方によっては、倒壊の危険があることが指摘されております。では、等級3にしておけばよいかといえば、コストも当然上がりますが、間取りや窓の位置等もある程度制限を覚悟しなければなりません。

設計とは、基準に当てはめることではありません。構造的にバランスの悪い建物(細長い、でこぼこが多い、L型のプラン、1階に車庫や広い居間があったりで、柱が少ない、壁が少ない、2階がオーバーハングしている等々)では、等級3にすることが極めて難しい場合がありますが、このような場合は、なんとしても等級3に近づける設計が必要です。

殆ど正方形に近いような矩形のプランで、総2階や総3階のバランスの良い建物の場合は、等級2でも十分です。

でも、等級1ギリギリの設計は予算が厳しくとも避けなければなりません。

火災時の安全に関しては、煙感知器や、熱感知器を基準法に沿って設置することでは、殆ど意味がありません。内装や、外装に関して材料を選定することが、必要です。
火災時に命をなくす最大の原因は、有毒ガス等の発生です。まだ燃え広がっていない部屋に助けに入って死んでしまうひとが多発しています。 出来るだけ、接着剤を使用しない、合成樹脂製品を使わないことが有効です。無垢の木材や、金属、鉱物等の使用が望ましいのです。

構造の劣化については、断熱や、気密、換気の考え方や施工方法に密接に関連しております。コンクリートや鉄骨の構造体であっても、水蒸気の始末を間違えれば、あっという間に構造体が劣化してしまいます。腐りにくい材質を採用したり、シロアリ対策は良いことですが、それ以前に余分な水蒸気をうまく捨てることが構造の劣化を防ぐ有効な方法です。


維持管理への配慮については、性能表示では、設備関係に限っていますが、屋根、外壁、内部の床、壁、天上の仕上げ材や、サッシ、ドア、等の手入れや、補修のしやすさが必要です。

温熱環境に関することについては、もっとも解りにくい部分です。空気環境、光・視環境と一緒に考える必要があります。省エネ環境といっても良いと思います。

高断熱・高気密住宅という言葉は当然皆さんも良くご存知のことと思います。しかし、K値やC値がどうのとかQ値は2.4ワットを下回っておりますとか説明されて理解できる方は殆どいないと思います。各々の詳細は、別途掲載いたしますが、ここでは、比較することによって解りやすく表現しますと、家の内部から、外部に逃げる熱の総量が北海道並の基準にすべきと考えております。しかし、内部の熱の逃げる量とその部分は、断熱材をがっちり詰め込んだ外壁からは、20%〜25%、屋根や床その他から15%〜20%、窓から30%〜40%、換気から20%〜30%という統計があります。窓から熱を逃がさない(夏は、進入させない)ことと、換気の熱を逃がさないことがとても重要になってきます。ここで、空気環境や、光・視環境と一緒に考えなければ解決できないことがわかると思います。

高気密ということは、隙間のないということです。壁や床の勝手なところに隙間が沢山あれば、其処から熱がにげますので、気密性能の低い住宅は、問題外です。しかし、高気密にすることは、室内空気の入れ替えがないことですから、必要な分だけは、換気しないといけません。換気の総量を抑え、いかに熱を逃がさないで換気するかが必要です。換気の総量を少なくするには、室内の空気を汚す原因を少なくすることです。☆☆☆☆の表示があるから安心ではなく、無垢の木材や漆喰などの全く空気を汚さないだけでなく、空気をきれいにしてくれる材料をつかったり、IHの調理器具で、室内の酸素の消費を抑え、炭酸ガスの発生を少なくすること等が有効です。

窓から逃げる熱が30%以上もありますが、これも北海道の基準のローイーペアガラス入りの断熱サッシを採用してこの数値です。通常のペアガラスではもっともっと熱が逃げてしまいます。雨戸や、シャッターをつけることや、レースのカーテン、ドレープのカーテンなど最低2重のカーテンを付けることが省エネに繋がります。夏は、窓上の庇や、オーニングの日よけ、よしずの日よけなどが有効です。

光の取り入れには大きな窓が沢山欲しいのですが、窓面積が多ければ熱がどんどん逃げてしまいます。また外が良く見えるということは、外から良く見られるということですから、無意味な窓は出来るだけ控えたいものです。同じ面積の窓でも、高い位置の窓は光を多く取り入れます。2階の南側の寝室などあまりおおきな窓にしないほうが良いのです。夜しか使わない寝室の大きな窓は夏熱を取り入れ、冬に熱を逃がすために作っているようなものです。

冷暖房に関してですが、同じ熱を生み出す価格を比較しますと、電気ヒーターは、灯油の3倍くらいかかります。しかし、エアコンは、灯油より3割から5割程度安くつきます。
灯油の高値が続きますと、ますますエアコンが有利になってきます。LPガスは、電気ヒーターより高い場合もあります。


音環境に関することについては、木造住宅でも、気密がしっかり取れていれば、窓を閉めた状態では、2階と1階は、それぞれ音が伝わる心配はあまりありませんが、2階で床を歩いたり、飛び跳ねたりの衝撃音は簡単に伝達してしまいます。これをなくすことは、殆ど不可能に近いことです。かなり和らげることは可能です。1階と2階の用途が異なり、使用する時間帯がずれていれば、殆ど気になりません(2階が寝室で、夜しか使わない等)個人差がありますが、2階の音が気になってしょうがないという方は非常に少ないと思います。


バリアフリー
に関すること。高齢者や身体の不自由な方に対する配慮ですが、今元気な方もいつか同じく身体が不自由になることが必ずやってきます。そのために床の段差をなくすことや、手摺を何時でも取り付けできる状況を最初から考えておく必要があります。
それだけでなく、内部のドアは、出来るだけ引き戸(上吊)にしたり、階段をゆるくしておくこと、車椅子になった場合のことを考慮した間取りにする必要があります。


防犯
に関することですが、面格子や、雨戸は防犯上あまり役に立ちません。玄関の鍵も簡単なものより、複雑なもの、1個より2個のほうが良いのですが、プロにかかればどんなに防犯対策をしても、必ずどこか弱いところを探して進入してしまいます。もっとも効果が期待できるのは、家の周りを見通しよくしておくこと、そしてご近所との付き合いを好くしておくことです。

以上簡単に網羅してみましたが、住宅性能表示制度で全てが最高ランクに適合するからといって、住みよい住宅とイコールではありませんし、余分な費用を掛けているかも知れません。特に、温熱環境では、関東は、W地域にあり、Q値は、等級4の最高レベルでも2.32ワット(1時間当たり1℃について床面積1uにつき)です。せめて2ワット以下にしたいものです。

さらに、省エネ住宅についての詳細

その前に、水蒸気の処理について簡単に説明したいとおもいます。
性能表示制度に含まれておりませんが、水蒸気は人間の健康だけでなく、住宅の健康を左右する重要な原因の一つです。水蒸気が壁の隙間から断熱材に触れて、断熱材が水浸しになり、柱や土台を腐らせたというような例は沢山あります。そのために高気密住宅がつくられるようになったのです。しかし、高気密にするだけで、水蒸気の処理はOKという訳ではありません。湿度が低過ぎると風邪を引きやすくなったり、湿度が高ければ、カビやダニの発生が健康を蝕みます。室内で発生した水蒸気をうまく調節してくれる内装材を使用することで人間も家も健康状態を保つことが出来ます。無垢の木材や、漆喰はその代表的なものです。

また、多すぎる水蒸気を高気密でありながら、断熱材を通過して外部に排出することも出来ます。水蒸気は空気よりもさらに小さな粒子ですので、空気は通過できなくとも水蒸気のみ通過できる材料があります。当然このとき使用できる断熱材は水蒸気を取り込んでも結露しない断熱材でなければなりません。

 



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